関係性を事業にするということ
アミタ株式会社 代表取締役社長
熊野 英介
事業を創出するということは、顧客を創り続けることを意味します。人間関係や未来への不安を解決するということは、関係性を創り続けることで安心が得られる、と証明することです。これは、「関係性の商品」を創り、顧客を作ることでもあります。
関係性の商品とは、
- 自然や人の役に立ちたいという利他的欲求を満足させる。
- 健康対策や化学物質対策で安心を保証し生存本能を満足させる。
- イニシャルコストが高くても省エネや利便性でランニングコストを低くして経済性欲求を満足させる。
- 生活センスや美意識などの利己的欲望を満足させる。
という四要素を取り入れた商品です。
例えばアミタが行なっている「森林ノ牧場」という事業があります。ここでは、人件費がかさむわりに収入が少ない林業を、森に牛を飼うことで労働力を減らし、牛乳という新たな生産物を創り出すことで新たな事業に挑戦しています。この天然の草を食べた牛の牛乳は通常のものより高価格ですが、店頭では売り切れることもあります。購入者は、自然の味と安心さもさることながら、この牛乳が生み出されるまでのストーリーにも共感してくれているのでしょう。理念に賛同して工房作りに無償で加わってくれる人もあとをたちません。牧場では、定年退職した方が働いてくれており、地域での再雇用の場も生み出しています。
社会のために役立ちたい人、打ち捨てられた里山、単独では経営が苦しい畜産業、別々と思われていた要素を新たに結び直すことで、
- 自然や里山のためになっているという利他的欲求の満足。
- 完全自然放牧の牛乳により共益リノール酸やラクトフェリンが摂取できる安心感。
- 週に一回デザート感覚で購入すれば、ショートケーキを家族で購入するより経済的である満足。
- デザイン的満足や限定品の購入という所有欲を満足させる。
ということで完売状況が続く事業が生まれた例です。
このように、アミタの事業は、一つの要素のみによって成立するものではありません。物事の関係性によって成り立たせることで、関係性の商品を創り続けます。
アミタは、このように複数の関係性を組み合わせ、新たな形にすることで、「循環型システム」を作り出していきます。この技術の蓄積によって、新たな社会ニーズを事業としていくのです。
『人と自然、人と人をつなぎ、新たな価値と産業を創る』
アミタ株式会社 循環社会センター 副センター長
佐藤 博之
私たちの目指すのは、あらゆる人や自然がその生命の価値を発揮できる、心豊かで持続可能な社会づくりです。
かつて、地表から染み出る「厄介な黒い液体」を「石油」という資源に変えたのも人間であるなら、いま豊かな恵みをもたらす「里山」を厄介な「イノシシの住処」に変え、「美田」を「荒れ地」に変えてしまったのも人間です。
自然や農林業に工業的な効率というものさしをそのまま当てはめてしまったことで、量産競争、価格競争に陥り、そこから落ちこぼれた山林や田畑は放棄されています。中山間地では、村々が「限界集落」というありがたくない呼称でよばれ、日本の原風景や生活文化が次々と失われつつあります。弱さやハンディを抱える人々も生き難い世の中になっています。ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは、「愛」の対極にあるのは憎しみではなく「無関心」だというメッセージを残しました。
私たちは、無関心ではいられません。私たちは放棄された山林、田畑、農山村、生活文化に目を向け、関係性を再構築することで自然産業を創出し、新たな「価値」を生み出すべくチャレンジしています。その価値とは、物質的な豊かさよりも、「心の豊かさ」「質の高い生活(QOL)」「豊かな時間」「人の役に立つ喜び」「安らぎ」「健康」という価値です。モノや情報は溢れても心の貧困が広がるいま、こうした本当の豊かさに対する人々のニーズは大きく顕在化すると確信しています。
私たちは、関係性をデザインする事業を通じて人びとの求める価値やニーズを形にし、経済的にも環境的にも持続可能で心豊かな社会づくりに貢献したいと真剣に考えて取り組んでいます。
まずは、丹後、那須における私たちの地域モデルづくりにご期待ください。そして、私たちの志(こころざし)と取り組みに共感いただけるのであれば、ぜひとも何らかの形で参加してください。お待ちしています。
会社データ一覧
| 会社名 | アミタ株式会社(AMITA CORPORATION) |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 熊野 英介 |
| 本社住所 | 東京都千代田区三番町28番地 |
| 設立 | 1977年4月1日 |
| 社員数 | 205名(2009年9月30日現在アミタ株式会社連結社員数) |
「森林ノweb」運営主体 循環社会センター
| 責任者 | センター長 内藤弘 |
|---|---|
| 東京本社 | 〒102-0075 |
| 京丹後ラボ | 〒627-0143 |
| 那須ラボ | 〒329-3213 |







