牛のいる小学校① 〜準備編〜

先日那須町立学びの森小学校で「牛の卒業式」がありました。

卒業したのは森林ノ牧場から転校(?)したジャージー牛の「レイリー」。
3か月間一生懸命レイリーと向き合った5年生たちによる素敵な卒業式でした。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/gallery/258385?ph=4

なぜ小学校で牛がいるのか?
ことの発端は今年の3 月でした。

<3月20日>

牧場の近く那須町立学びの森小学校の校長室、フカフカのソファに座り、出されたお茶を飲みながらゆるーく話を。

「地域の産業を学ぶ」という5年生の総合学習の時間について相談を受けていて「じゃ、学校で牛飼ってみますか?」という流れになりました。

那須は酪農の産地です。
通学路や近所に牛が当たり前にいるし、5年生には酪農家の子供もいます。
知識としての酪農を勉強するよりも自分が牛を飼うことで、牛飼いの気持ちを体験し、牛の世話を経験しながら自分で考える事が何よりもの地域の産業を学ぶ事だと思ったのです。

保健所やら役場やらに問い合わせたところ法的な問題は特になさそう。
小学校で牛を飼うと言うことがここから始まりました!

<4月25日>

5年生の担任の田中先生、校長先生、お手伝いをしてくれるという地域のお米農家さんと酪農家さんと一緒に、学校のどこで牛を飼うか現場を見ながら相談しました。

学校裏の学校林がいいのでは?
昔使っていた鶏小屋を改装して使えばいいのでは?

しかし、せっかく牛が来るのだからと校舎と校庭の間の教室からも見えるところに牛小屋を作ろう!ということになりました。

場所は校舎の目の前、校庭のすぐ横。 ここに柵を立てて牛小屋を作ろう!となりました。

場所は校舎の目の前、校庭のすぐ横。 ここに柵を立てて牛小屋を作ろう!となりました。

<5月23日>

次にメスが生まれたらその子を学校で飼いましょう、と言うことにしていました。
そしてこの日生まれた待望の女の子!
母牛はルーリー。
名前は子供たちにお願いする事にしました。

ルーリーから生まれた仔牛。生まれた次の日です。

ルーリーから生まれた仔牛。生まれた次の日です。

<5月29日>

まずは牛に慣れよう、と森林ノ牧場に牧場作業体験にやってきました。

航平先生による牛の授業

糞掃除やら餌やりやらわーわー言いながら作業する中、一際目立つのは家が酪農家の子たで牛にも牧場の仕事にも慣れている酪農家の子供はこの日みんなのヒーローになりました。
牛のお腹を「あったかーい!」と初めて触る子供達のちょっと怖がりながらも温かみを感じて嬉しい表情が印象的でした。

そして生まれた仔牛の名前がこの日決まりました。
令和に生まれたらルーリーの子だから
「レイリー」
シンプルで可愛らしい名前がついたのです。

View this post on Instagram

牧場のある夕狩地区の子供たちも通う那須町立学びの森小学校。 総合学習の時間を活用して学校で牛を飼育することになりました! 5年生の総合学習の時間では「地域の産業を学ぶ」というテーマ。 地域の産業である酪農を身を以て実践し、子供たちが自分たちで考えて学ぶとりくみになればということです。 学びの森小学校で飼育するのは森林ノ牧場のジャージー牛。 本当に飼育できるの?牛の体調管理は?衛生管理は? 色んな課題がある中、地域の方々が協力して学校での牛の飼育に向けて知恵を絞っています。 生徒の中には酪農家の家も多く、一方で牛を見たことがあっても触れるのは初めてという子もいます。 牛に触れ、餌をやり、糞の匂いを嗅ぎ、体温を感じてもらうことから始めようと、昨日は森林ノ牧場に小学生たちが授業でやってきました。 酪農家の子が他の児童に教えていたり、怖がっていた子が恐る恐る触れてみたり、やっぱりダメだった子もいたりでしたが、一人ひとり何かしら感じて変えることはできたと思います。 放牧地では雑草取りをしたのですがいつの間にか花束作りに。 さすがの柔軟性です。 学校に仔牛が行くのは9月の予定でそれまでに牛の勉強をして、牧草を育て、小屋を作ります。 一年間、牛の世話を通して子供たちが何を感じてくれるのか楽しみで、私たちも気づきが多く成長する機会をいただいたと思っています。

A post shared by 森林ノ牧場 (@shinrinno) on

<9月2日>

夏休み明けまもない9月2日に「夢は牛のお医者さん」という映画上映会を実施しました。
この映画は新潟の過疎の小学校で新入生がいないからと牛を入学させて子供達が学校で牛を育てたというお話。
「将来の夢は牛のお医者さんになること」という生徒のその後を追ったドキュメンタリー映画です。

今回学びの森小学校で牛を飼おうというアイデアは、昔この映画を見たことが思い出されたということもあったのです。

映画の中の子供達を自分達に重ねて、
もう直ぐやってくるレイリーのことを考えていたのかもしれません。

そしてこの日にレイリーの小屋が完成しました!
小屋を建ててくれたのは地域の大工の高根沢さん、5年生の生徒のお父さんです。
生徒たちも小屋の壁の板を打ったり、小屋を囲む柵を作ったり、みんなで作ったレイリーの小屋が完成しました。

いよいよレイリーを学校に迎える準備が整いました!

牧場ライブカメラ

PageTop